「ありがと。あのさ、俺、理那が好きなんだけどさ、いつ、どうやって告ろうと思って」
頭が混乱する。
そうだ。
理那がモテない訳がない。
なのに、変に、俺だけが好きなんだって安心して。
「.....疾天?」
「いつから、好きなん?」
やっと、言葉が見つかる。
聞きたくないけど…。
「んーっと...小3ぐらいかな」
「じゃあさ、2人幼馴染みなんだし。飾らずそのまんま太一で言葉にして伝えたら?」
我ながら、的確なアドバイスだと思う。
「確かに!なるほどな!やっぱ、疾天に相談して正解だわ!ありがとう!」
いつもの太一に戻る。
俺のこの、気持ちの行き場所をなくしそうになる。
「好き」って思うなって事か…?
「俺、先に戻ってるわ!〜♪」
鼻唄を唄いながら校舎に消えていく背中を見送る。
「はぁ〜〜〜...」
深いため息をつく。
幼馴染み同士の恋愛にただの友達なんかが勝てるはずが無い。
ネガティブになってしまう。
俺は、理那も俺を好きであるようにと願いながら、中庭を後にした。
教室の前まで来ると騒ぎ声がした。
クラス1のチャラ男光輝(こうき)の茶化す声。
いつも光輝の横にいるやんちゃな双子翔(しょう)と陽(よう)の笑い声。
理那と仲のいい佐藤実穂(さとうみほ)と三心千鶴(みごころちづる)の怒り声。
喧嘩か?
ゆっくり、扉を開けそっと中へ入る。
佐藤と三心が理那を庇っているようだった。
「別にいいじゃん!あんただって好きな人いるでしょ?!」
