「佐伯さん可愛かったから思わず」
「またまたー。おだてても何もでないからね。
あ、金曜日良かったね」
「え?」
金曜日、と言われて頭にポンッと出てきたのは土曜日の朝の事。
「な…何が…」
何がデスか?と聞こうとした私の声を遮って、外線の音が響いた。
「あ、電話出なきゃ。休憩室お願いね」
ぱたぱたとあわただしくロッカーを駆け出していく佐伯さんの背中を見ながら、私はただただ…呆然としていた。
『金曜日、良かったね』
…何が?
も、もしや私、会社の人の前で前橋君に何かした?!
それか逆?!
いやいやいや、私と前橋君の関係って、超事務的なお付き合いしかないし。
2人しかいない同期だけど、一度も2人でご飯なんてしたことも無いし。
それどころか、一応同期だからお互いに連絡先は知っているけど一度も個人的にメールも電話もしたこと無いし。
「何があったの…」
独りになったロッカーでぽつりと口から零れ落ちた。

