キンヨウビノヒミツ

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別に、理想が高いなんてこともないと思う。


そこまで女を捨ててるわけでもないし、それなりに合コンに行ったりもしているのに、どうしてこう、上手く立ち回れないかな。


2年半前に別れた彼とは、学生の頃から付き合っていた。


同じサークルで、友達からの延長でゆっくりと好きになってゆっくり関係を進めていった。


…だから…


合コンで初めて会った人と会話をするのが苦手。


会ってお互いの事をよく知らないのに、恋愛対象として意識できない。


大人の恋は、私が思っているものよりもずっとずっと…テンポが早くてついていけない。


だけど、みんなせっかちで、待っていてもくれない。


それなのに。


そんな私だったのに。


まさかの同期とやっちゃったとは一体どういうことなのか。


はぁ…とため息をついて鏡の自分とにらめっこする。


今日は会社に行かなければいけない。


月曜日は発注書が沢山待っている。


見積書、領収書、在庫確認、やらなければいけないことは沢山ある。


そう。


やらなきゃいけないことがある。


前橋君のことは、見なければいい。


見ない振りして…乗り切っちゃえ!!


思い切り後方に向かって前向きに、私は気合を入れるべくペチンッと両手で頬を叩いた。