キンヨウビノヒミツ


前橋君の事は別に嫌いというわけじゃなかった。



だけど、だからと言って好きかと言うとまた別の話。



仕事は出来る。



いつも仏頂面で、あまり笑わなくてとっつき難くて…なかなか…気難しそうな人。



はぁ…とため息をついた。



こんな時に憧れるのは、大きな自社ビルがあって、部署ごとにフロアが分かれているドラマに出てくるような大企業。



そんな企業なら、会社の人と社内恋愛したらそれなりにお給料だって貰っていそうだし、部署が違えば会社で即顔を合わせるなんて事もないだろうし。


…だけど。


私の職場はそんな素敵な会社じゃない。



社員が20人に満たない化学薬品会社の地方支所に過ぎないのだから。



会わないとか…100パー無理だし、100パー。



あぁ、もう嫌。



明後日会社に行くって思うだけで胃が痛くなる。



お風呂から出て、とりあえず冷蔵庫に入っていた野菜ジュースを一気飲みする。



ビールでも飲んでやろうかとも思ったけれど、お酒でやらかしたのだと思い出すと1人でもアルコールを口にする気分は吹っ飛んでいった。