え?何を?
前橋君は小さくため息をついた。
「それ、気にしなくて良い。
俺、今月一杯で転勤になるから」
「え?うそ?!」
思わず跳ね起きた私を呆れたような、困ったような表情で前橋君が見上げてくる。
「先週、言ったんだけど。
聞いても全く思い出さない?」
「…あ、はい。ごめんなさい…。
転勤って…どこ行くの?」
「青森」
「あ…あおも……地味に遠いじゃん!」
「うん、だからさ。
一緒に来ない?って先週聞いたんだけど」
え、え、え。
私の頭を占めるのは、山のような?マークで。
一緒に来ない?ってそれどういう意味?とか。
先週の私は何て答えたんだろうとか。
そもそもそれって…結婚するの?とか。
「まぁ、付き合ってすぐじゃ色々難しいよな。
絵奈も仕事あるわけだし。
俺は来月には向こういかなきゃいけないのは確定。
俺の担当はとりあえず栄さんに引継ぎ中。
で、俺がこっちに居る間、もう二週間位しかないけど、一緒に暮らしてみない?」
「…」
「先週話したんだけどね、今のも」
「は?!」
私の頭は完全に置いてきぼりで、苦笑いしている前橋君と暫し見つめ合う。

