キンヨウビノヒミツ

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「前橋君、今日飲みに行こう」


私の背後で、そんな栄さんの声が聞こえてくる。


「あー、すみません。今日は駄目です」


断る前橋君の声を聞きながら、何となく感じる優越感。


…いや、栄さんに優越感とか感じても仕方ないんだけど。


「お先に失礼しますー」


栄さんに声をかけられたりしないうちに(かけられたって断るだけだけど)さっさと会社を後にして向かうのは駅の本屋さん。


ちょっと立ち読みをしたりしていると、背後から声をかけられた。


「お待たせ」


「そんな待ってないよ」


振り返って答えてから、立ち読みしていた雑誌を棚に戻す。


「飯、どうする?」


まるでこれが日常のことのように言う前橋君。


「なんか食べて帰る?」


「…台所貸してくれるなら作ってもいいけど」


「…まじで?なんか作って」


「じゃぁ、どこかスーパーで買い物させて」


歩き出した前橋君の隣に並ぶと、さり気なく手が大きな手に包み込まれる。


…あのね。


そんな普通に手をつながれちゃうと、ドキドキしちゃうんだけど。


わかってやってるわけ?


そりゃ、この間もブランチ食べに行ったとき、手…繋いだけど。