「え」
読みに来ればなんて気楽に言って、フリーズした私を見て前橋君はクスッと笑う。
「別に、俺は問題ないけど。
あ、見ての通り散らかってはいるけどね」
片付けあんま得意じゃないと言う言葉が何となく可愛く感じられてしまう。
「つーか、腹減ったからなんか食いにいかね?
うちに食えそーなモン、特に無いから」
「…あ、はい」
前橋君に促されるまま、さっと化粧だけして部屋を出る。
マンションではなく、アパート。
階段を先に下りていた前橋君が手を差し出してくれた。
階段で手を差し出してくれるとかさ、完全に“女の子”扱いだよね。
この手を取ったら、何か…変わる?
そんなことを思いながら、前橋君の手を取ってぴょんっと残りの3段を飛び降りた。

