キンヨウビノヒミツ

ええと、それって前橋君と一緒なら飲んでもいいって意味…だよね?


「その辺の男にお持ち帰りされたい?」


絶対嫌だとぶんぶんと首を横に振る私に、前橋君ふっと笑う。


「おもしれーな。
あんな普通だったのに、本当に昨夜の事覚えてないんだな。
今まで家に帰ってて気付いてないだけで、記憶しょっちゅうなくしてんじゃねーの?」


「そっそんなこと無いっ」


「説得力皆無だから」


クスリと笑って、前橋君は身体を起こす。


「俺、シャワー浴びてくる。
…覚えて無さそーだから言うけど、井上は昨夜シャワー浴びてっから」


「…」


ええ、全く覚えていませんとも。


1人残された部屋を改めて見回してみる。


そこまでインテリアに気を使っているわけじゃなく、きっと学生時代から使ってきたんだと思われる家具達。


紺色のカーテン。


ベッドの足元にスタンドライト。


家には寝に帰るだけ、というスタンスが見え隠れする部屋に、ちょっとインテリア性の高いライトは少し異質に感じられた。


…前橋君の趣味じゃないのかも。


彼女?


だったら、今私ここに居たらやばいよね。


ざっと見た感じ、この部屋にはスタンドライト意外で前橋君以外の人の痕跡を感じない。


…元カノ…かな?


そんなちょっと部屋に似合わないスタンドライトの足元に、私の鞄と昨日着ていた服が置いてあった。