キンヨウビノヒミツ

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繁華街の近くのカフェ、窓際のカウンターに座ってぼんやりと外を見ていると見知った人影が、窓越しに私に微笑みかけて通り過ぎていった。


というか、前橋君の笑顔とか…レアじゃん。


4年も一緒に仕事してたのに、笑顔なんて殆ど見たことなかった。


もともと結構カッコいい顔立ちをしているから、そこに笑顔が加わったら…ちょっと予想外に、ときめいちゃうじゃないの。


「ごめん、待たせて」


「ううん、お疲れ様」


…何このやり取り。


ちょっとデートっぽい、よね。


素面じゃないほうがいいとハッキリ言われてしまったから、素面で聞く勇気が出なくて、結局私は前橋君とご飯を食べる約束をしていた。


何もしていない、とは言ったけれど…。


見られては、いるんだよね?


下着姿。


しかも、その状態で、密着して寝てたんだよね?


彼が言う「何もしていない」の「何も」はどこまで?


金曜日に何があったの?


私の記憶に無い金曜日の謎が、漸く解ける。


自分の事なのに記憶が無い不安感から解放される、それを喜んでいられたのは、わずか30分ほどだった。