文化祭の日。
いつもより化粧の濃いハンナがいた。
「あれ、ハンナちゃんがいるなんて珍しい」
三年間ずっとハンナを見ている先生がそう言った。
ハンナは学校行事は一度も参加したことがなかったようだ。
でも、俺がいると知るといつも来る。
それで先生方も好意に気づいた。
「先生!あのね!内定!もらったの!!」
ハンナが笑顔で俺の元へ走って来た。
「おぉ...そうか、おめでとう」
好意に気づかれていると思うと、ジッとしてられなかった。
二度とこの笑顔を見れなくなると思うと辛く、気づけば冷たくしようとしている自分がいた。
それでもハンナは
「先生!寒い!前に立ってて〜...」
と、俺の後ろにひょこっと立ってずっと寒がっていたり
「先生、一緒にお店、回ろう?」
そう誘ってくれたり
「ダンス部の発表見にいこう〜!!」
と、常に俺に声を掛けてくれていた。
俺がハンナを好きになった理由、
そんなのはわからないが
少し避けようとしても
いつも変わらない態度で話しかけて来て
でもそれはいつも俺が1人の時だった
今思えばもっと話したかっただろうに、
我慢してくれていたんだなと。
そういうところも、大好きだった。
