気がつけば窓の外は暗かった。
腕時計を見ると、時間は5時30分。
ヤバいと思いつつ、佐伯さんを見るとジッとこちらを見つめていた。

佐伯「寝てたよね?」

凜咲「ま、まあ…。」

佐伯「大変そうだね、お仕事。」

凜咲「はい。」

佐伯「…」

ふと佐伯さんの横顔を見て驚いた。
窓の外を見ている佐伯さんの瞳がこんなにも綺麗だなんて思わなかった。

凜咲「何を見ているんですか?」

佐伯「桜。」

凜咲「桜好きなんですか?」

佐伯「まぁ…。昔、大切な人が好きだったから。」

大切な人いたんだ。
きっと彼女さんだろうな。
美人で佐伯さんにぴったりの人だったんだろうな。

ピピピピピ

腕時計が鳴る。

凜咲「時間ですね。また明日来ます。」

佐伯「あぁ…」

凜咲「また明日」

そういって扉を閉める。
思ったほど悪い人じゃなかった。
綺麗な人だった。

上司「月村!どうだったんだ?」

凜咲「普通の人でした。本当に普通です」

上司「ならよかった!心配してたんだよ。安心した。」

凜咲「心配ありがとうございます。時間過ぎたのでお先に失礼します。」

上司「ああ。ゆっくり休んでくれ。今日はお疲れ様。」

凜咲「はい」

今日は家に帰って寝よう。
体が疲れてる。