「お主は責任感が強すぎる。もう少し楽に考えていいんじゃよ。」
「楽に…?」
「ああ。わしなど、好きな女が取られて嫉妬しているに過ぎん。そんなもの放っておけばいい。」
涙目になりなが見上げる秀吉は可愛くて、もうそれが触れられないのだと思うと寂しくなる。
「しかし大殿は…」
「恩人だからか?そんなものでわしの所に来られても虚しいだけじゃよ。」
抱き締めているのは駄目だと、離さねばと思うのに、言っていることとやっていることが違う。
「…秀吉。半兵衛の所へ行け。」
「大殿、支離滅裂ですよ。」
離そうとするのに、離れたくなくて。
秀吉に言われたのに、手が動かない。

