いつものように仕事を終えてから今日は時間がとれるので藤吉郎の部屋へと歩いてきていた。
五日間経った今でも海へと行った日の事を思い出し、思わず口元が緩みそうになるが、それを我慢し襖を開ける。
すると、開けた先に藤吉郎はいなかった。
藤吉郎のいる部屋は、城の中でも使わない階にある。何故そこの階が使われないかと言うと、わしの部屋がある階だからだ。
人払いを常にしてあり、藤吉郎の存在が周りに気づかれないようにしてある。
まぁ元々先代の当主が妾を囲うのに使っていた所だ。
自然と皆近寄らなかった。
近くに厠もある。
厠だろうかと、部屋に入ると机の上に文があるのに気づいた。

