十日もしない内に藤吉郎は運ばれてきた。
言葉通り夜中に本当に運ばれてやってきたのだ。
それほどまでに藤吉郎はぐったりとしていた。
着物は血にまみれ、べっとりとついている。青あざが顔や手足に見られ、拷問の酷さが伺える。
「女子にここまでやるか…!」
思わず口にしていた。
すぐに藤吉郎を普段から使わない部屋へと布団を敷き、寝かせる。
夜中にも関わらず、医者を呼びつけ診療させる。
「…これは酷い…。」
医者がそう呟いたのが分かった。
「どうだ?」
「気を失っているようじゃな。爪は剥がされておるし、殴られた痕や切られた痕ばかり。腕と指の骨も折れとるな。一応全て固定して清潔にして包帯をしておいたが…。」
「他にもあるのか?」
「流産した痕が見られる。」
「は?」
「恐らくつい最近だな。」
十五くらいにしか見えない藤吉郎。それが流産の痕がある?
理由などはっきりとしていた。
恐らく半年の間に、犯され身籠ったが、そのまま拷問にあい流れてしまったのだろう。
この時今川家は潰さねばならない。そう心に誓った。

