「そんなことまで考えていたとは…。」

思わず思っていた事が口に出る。すると、それを聞いた大殿は苦笑いをした。

「ほんと、細かくて強かな女狐じゃよなぁ。」

「なっ大殿、女狐って…!」

「ははっ誉めておるんじゃよ。」

そう言って大殿は秀吉殿の頭を強く撫でた。

ただそれだけなのに、大殿の手が秀吉殿に触れた瞬間もやっとする。そんな器の小さい自分が嫌で、頭からその事を振り払い戦に専念しようと心に決めた。

「女狐殿、この戦必ず勝ちましょうぞ。」

「半兵衛までっ!どーせわしは性悪ですよー。」

ぷいっと顔を背ける秀吉殿は、この殺伐とした戦いの中で暖かい感情を沸かせてくれた。