樫の木の恋(中)



「ふーん。半兵衛は大殿が嫌なのか。」

「なっ!そ、そんなこと言ってないだろう。」

いきなり図星を突かれて焦ってしまう。

「顔に書いてあるぞ?それと嫉妬もあるのかぁ。ってことは秀吉殿絡みかなー?」

「そんなわけ!」

なんでこんなに心を読まれるのだろう。そんなにそれがしは分かりやすかったのだろうか。
じーっと見てくる官兵衛に、全てを見透かされているようで顔を背けたくなる。

「あははっ!官兵衛、あまり半兵衛を苛めてやるな。」

「いやぁ、あまりにも半兵衛は反応が面白くて。」

「半兵衛は可愛い奴だからな。」

ふっと笑う秀吉殿は綺麗で美しくて、どうせ官兵衛しかいないのだからと、秀吉殿を後ろから抱き締めた。

「ちょっ半兵衛!官兵衛がおるのにっ」

「官兵衛しかおりませんから。」

「おやおや、わしは空気か何かかな?」

「そうだ。ちょっと空気になっていてくれ。」

秀吉殿の頭に顔を埋めると、爽やかな香りがふんわりと鼻を抜ける。懸命に逃れようとする秀吉殿をぎゅっと抱き締めて離さない。

「半兵衛!放せって!」

「しょうがないですねぇ。」

そう言われて仕方なく秀吉殿を離す。少しだけ赤くなった頬に嬉しくなる。

「いいよなぁ。半兵衛ずるいなぁ。秀吉殿を好きにできてさぁ。」

「やらんぞ。」

「もう、お主らいいから大殿の部屋に行くぞ。」

秀吉殿が赤い顔をこっそり落ち着けながら、先に歩いていく。それに後ろから急いでついていった。