「なんなんです?あの男。殿に馴れ馴れしくして。」
こっそりと三成が耳打ちしてくる。
今、絶賛宴中で秀吉殿と小寺孝高殿が楽しそうに飲んでいた。それに入っていけないでいると、横に三成が座って話しかけてきたのだ。
「赤松家の使者といったところか。」
「そんなこと聞いているんじゃありませんよ。殿とどういう関係なのかと問うているんです。竹中殿気にはならないのですか?」
「まぁ、気にはなるが。」
そうぼんやりと答えると、三成はため息をついて呆れたようにこちらを見る。
三成は苛立っているようだった。
いきなり知らぬ男が秀吉殿と仲良くしているのが気にくわないのだろう。
「そんなに秀吉殿を自由にしておくから、それがしや大殿に取られるのですよ?」
「結構束縛してしまってる気がするんだがなぁ。」
「そもそも付き合うにあたって、主導権をもっと竹中殿が持つべきです。」
「しかし殿だし…。」
「そうやって言ってるとまた取りますよ?」
三成が苛立ちを隠さないで話すものだから、だんだんと語尾が強くなっていく。
「三成。言葉が過ぎるぞ。」
「竹中殿が悪いのです。今だって二人が仲良さげに話しているのをただ見ているだけなんですから。」
「しかし大事そうな話をしておったし。」
「どう考えても今はもう大事な話などしておりませんよ。竹中殿が行かないのでしたら、それがしが行きますから。」
そう言って三成はすっと立って、秀吉殿の元へと向かっていった。
仕方がないので、三成にならって秀吉殿の隣に腰を下ろした。

