「半兵衛、紹介するな。小寺孝高じゃ。」
「おーっこれが、噂の秀吉殿の旦那ですか。いやはやなかなかに色男ですなぁ。」
「小寺?」
「赤松家の人間じゃよ。」
赤松家の人間が秀吉殿に何の用なのだろうか?
そもそも何故秀吉殿と知り合いなのだろうか。様々な考えが頭を駆け巡る。
「官兵衛!書簡が来ておったが、あの話は本気なのか?」
「ええ。ですから、こうして姫路から参ったのですよ。」
「あの話というのは?」
わざわざ姫路から来たくらいだ。
よっぽど大事な話なのだろう。
「それがしは赤松家で家老職についておるのですが、織田殿の手腕に惚れまして、我が主君を説得し赤松家は織田家につく事にしたのです。そこで秀吉殿に織田殿を紹介してもらおうと書簡を出したのです。」
「なんと!自ら従属しようというのですか?」
「ええ。このまま行っても織田家には勝てませぬから。」
まさかそんなあっさりと赤松家が手に入るなど。
赤松家にこのような利口で世渡りの上手い人がいるとは思わなんだ。
「官兵衛、明後日共に大殿の元へと行こうぞ。こういうのは早い方がいい。大殿には文を送っておく。今日はゆっくりしていけ。」
「ありがとうございまする。」
秀吉殿が握手を求めると小寺殿はにこやかにそれに応じた。

