「仕方のない事なのですが、少し妬けてしまいますね。」
「は、半兵衛?」
ゆっくりと口付けをすると、可愛く応じてくれる。それがどれだけ幸せなことか。
それなのに、それはすぐに遮られた。
「おやおや、邪魔してしまったかな?」
知らぬ間に襖が空いていて、明智殿がにやにやとしていた。
パッと離れ、秀吉殿が殺気を明智殿に向ける。
「…何のようで?」
「そんな邪険にするでない。半兵衛の前だと、秀吉はなかなか可愛いんじゃなぁ?頬を赤らめたりなどして。」
そう言うと明智殿はゆっくりと秀吉殿の前に近付く。下がったら負けと言わんばかりに秀吉殿はそこから動かない。
「余と口付けするときも、そのくらい顔を赤らめてくれたら嬉しかったんじゃが。」
「好きでもない方に頬を赤らめる訳無いでしょう?」
秀吉殿が言い終わると明智殿はゆっくりと秀吉殿の顔に手を触れる。それがしは瞬時に明智殿の腕を掴み離そうとするが、力が強くて離れない。
「久々にするか?」
「しません。」
「そうして拒まれると、無理矢理にでも欲しくなるな。」
そう言って秀吉殿に顔を近づけるので、無理矢理明智殿の腕を秀吉殿から外し、間に割って入る。
「明智殿、止めて下さい。」
「忠犬は健在じゃな。」
にやにやとする明智殿を強く睨む。

