「秀吉殿!」

「なんじゃ半兵衛。」

何事も無かったかのように振り返り不思議そうにこちらを見てくる。

「あーっもう!こんなに斬られているではないですか!」

「ん?そうか?」

「そうですよ!痛くないのですか?」

秀吉殿の腕を引っ張り部屋へと連れ込む。
このお方は怪我ばかり作ってしまう。どうしたものかと頭を悩ませてしまう。

「んー痛くないがなぁ。」

「あっもう、血が着物にまでついてますよ!」

「ん?そうか?あっサラシも汚れてしまった。」

そう言ってパッと着物の上を脱ぐ秀吉殿。何度見ても慣れないその光景に少し恥じらってしまう。
それなのに、秀吉殿は何にも気にしていない事に腹が立った。

「どうしたんじゃ半兵衛?」

そう聞きながらも手を動かしながらサラシを取ろうとしている秀吉殿。

「いえ、そんなに目の前で脱がれるものですから、秀吉殿は恥ずかしくないのかな?と思いまして。」

「ん?何度も見ておるではないか。」

本当に男の時の秀吉殿は動じない。
上司としては頼もしくある反面、女としての可愛らしい秀吉殿が見たかった。

傷口を綺麗に拭き、その上から包帯を巻いていく。これは大殿に聞かれてしまうだろうなと考えながら。