「ところで秀吉。お主最近大殿に可愛がられておるようじゃのぉ?」
別に最近の話ではない。それは前々からの事だ。
しかしそれを表に出し始めたのが最近。
大殿がもし自らが死んだ後、織田家を支える役目を秀吉殿と任せると決めているから、それを周りにもそう思わせるよう仕向けているからだ。
「そんなことないですよ。」
「ははっ!いやいや一目瞭然ではないか。」
秀吉殿的にも、柴田殿は敵に回したくない。なんだかんだ筆頭家老が長いため、織田家内に柴田殿を支持する人が多いからだ。
しかしこのお方は織田家が長いが、未だに城主ではない。まぁそれは秀吉殿が織田家に入る以前に大殿の弟君を支持し、その弟君が謀叛を起こしたからだ。
弟君は二回目の謀叛で粛清されたが、柴田殿は不問にされていた。
しかしそれのせいなのだろう。
いまいち大殿は柴田殿を信頼しきっていない。
優秀であることには違いないのだが。
「秀吉、大殿とどういった関係なのじゃ?」
にこやかな顔の裏にどす黒いものが流れている。滝川殿も秀吉殿の反応を見逃すまいと言わんばかりにじっと秀吉殿の顔を見ていた。
「どういった関係といわれても、大名とその配下と言ったところでしょうか。」

