「でしたら、もう止めますね。もう充分仕置きは出来ましたし。あまり気乗りのしない秀吉殿に無理強いはしたくないですしね。」

そう言いながら手を離し、手拭いで手を拭いてから秀吉殿の乱れた着物をさっと直す。

「えっ…?」

いく寸前だった秀吉殿は、いきなり手を離された事に驚ききょとんとしている。

「では、そろそろ部屋に戻りましょうか。」

「えっ…あ、うん…。」

顔を蒸気させながら、少し物欲しげにこちらをちらっと見てくるが、大人しく部屋から出た。
そもそもそういうことを、ねだれるような人では無い。

そんな秀吉殿が可愛らしい。




廊下を歩いていると、先程の二人組に会った。
ここでもまだ話していたようだった。

「あっと、殿と竹中殿!」

恐らくまだ我々のことを話していたのだろう。少し焦った風に男達は声をあげる。

秀吉殿はちらっとみると、きっと顔を引き締め、先程までの淫らな姿などつゆにも思わせないような顔をしていた。