「そ、その…。」
「早く言わねば、続きをしますよ?」
もう一度秀吉殿の胸に手を当てようとする。すると、秀吉殿が焦ってそれを止めようとする。
「……怒らん?」
「それがしが怒ろうが怒らなかろうが、言わねば続きをするだけです。」
「うっ…!」
秀吉殿の目があちこちへと泳いでいく。話しづらいのだろう、なかなか話そうとしなかった。
「抱き締められたのですか?」
仕方がないので自ら聞くことにした。
すると、秀吉殿はよく見ていないと見逃してしまうくらい小さく首を縦に振る。
「口付けは?」
「……した…。」
気不味そうながらも素直に答える秀吉殿。
あの日、岡崎城にて大殿と秀吉殿が口付けをしていた光景が思い浮かぶ。
一度ならず二度までも!
腹が立って仕方がなかった。

