「わしにもしもの事があったら、織田家を頼むな?」

「え…?」

秀吉が茫然とする。
悲壮感さえ漂うその顔に、思わず大丈夫だという意味を込めて頭を撫でる。

「もしもの話じゃよ。一番信頼の置けるお主に頼みたいんじゃ。」

何度か撫でると秀吉は悲壮感をしまい、きっとこちらを
見据える。

「女の私などでは、皆ついてきてくれませぬ。」

「そんなことない。藤吉…頼むな?」

そうしっかりと頼むと秀吉は小さく頷いた。

「その時になったら、任せてくだされ。でも、そう簡単には死なないで下さいね。」

そうふわっと笑う秀吉に、最後の口付けを交わした。