「ねぇ、愛美は那千君狙い?」


電車の中でちかえが顔を覗き込んできた


「…別に。狙ってるわけじゃないよ。ただ仲良くなれたらいいなくらい。」


嘘じゃない


好きとかそんなんじゃない


ただ、那千君をもっと知りたい


そう思っただけ


「ふぅ〜ん。私は断然たっくんだなぁ♪」


「見てれば分かるよ。拓也君とはいつ知り合ったの?」


「ん〜3ヵ月くらい前かなぁ?クラブで声かけられて、それから仲良くなったんだ!」


「……セクキャバっていうのは?」


「言ってないよ。てか言えないよ〜。絶対嫌われるもん。」


そうだよね


セクキャバやってるって聞いて嫌いになる事はあっても、好きになる事なんてない


お客さんと付き合う子もいるけど、大抵は長続きしない


私も那千君には言えない


私達はそれぞれ家に帰り、またいつもの日常へと戻る


これが私の選んだ道だから





.