1時限目は移動教室。2組との合同授業だ。早く行かないと厄介な事に巻き込まれる事になる。
一段飛ばしで降りる階段…すると後ろに誰かいる様な気がした。
振り向くと黒髪が綺麗で、ガラス玉の様な目をした男子が立っている。
そんな男子を見て硬直していると…
「ちょ、お前…前見ろよ!」
「へっ?」
後ろに夢中になっていた私はいつの間にか階段を踏み外していた。
「わっ」
こんな事しか言えない自分が情けなく思えてくる。もうダメだ…そう思い目を閉じた…
どんっ…階段から落ちた。…
「痛…くない?…」
下を見るとさっき居た男子だった。
「ちょ、大丈夫!?」
慌てて上から降りて男子の元へ駆け寄る。
「いってぇ〜…」
ゆっくりと立ち上がる男子。こちらを振り向き…
「お前…前ぐらい見ろよ。アホか」
なんて笑いながら言われた。
「いや、ちょ…初対面の人にアホとは無いでしょ…。」
と、怒りを込めて言った。すると…
「は?何だって助けてやった相手にそんな事言うのか?」
「う…。」
その一言に私は言い返す言葉も無かった。
「助けてくれてありがと。何かお礼する。借り作るのは嫌いだから。」
ちょっと上から目線だけど借りを作るのは嫌い。という事は本当だ。
「別に欲しいものねーんだよなぁ…。あ。じゃあお前の名前教えろ。」
…意味分かんな。でもそれがいいなら教えなくちゃ。