ー13年前ー


高校2年生の春。




「ちょ、柚希。一目惚れした。」



私は、ある男の子に一目惚れをした。



そして、彼は私の運命の人だ。なんて思った。



「誰?!」



恋愛話大好きないまどき女子の柚希は勢いよく紙パックに刺さってるストローから


口を外して私を見る。




「名前知らない!」


「なんじゃそりゃ!」


手で自分のデコをペチっとして
柚希は口を開ける。


リアクションが大きい女の子だ。


その時の私は


162cm64kg。
まぶたに脂肪が乗ったなりきれていない二重。
少しつり目に少し焼けた顔。


化粧っ気も全くない


いわゆるズボラポッチャリ女子。



私のいいところといえば


友達が多い。


くらいかな?


男女関係なく友達は多い。



広く浅くタイプな私。



そんな中、名前も知らないある男の子に一目惚れしたのは初めてだった。



同じ高校で


職員室に昨日忘れた提出物を出しに行ってた時にたまたま廊下ですれ違った。



すごく歩き方、雰囲気がいい人が前から歩いてくるなあと思って少し見ながら職員室に向かっていたら


一瞬だけ
ほんの一瞬だけ目が合った。



おっと、危ない。


なんて思いながらすぐ下に視線を逸らした。


だから、向こうが私の顔をもう覚えていない。の確率が高い。