あたしはすぐに分かった。

彼女さんは可愛いかった。

加工された画像かもしれなかったけど、

唇は厚くなく薄くもなくて、目はキレイな二重で、鼻筋もスッととおっていた。

お店で見るようなお人形さんみたいだった。

「可愛いね!」笑って宙斗に言う。

「知ってる。」宙斗も笑う。

負けてるな、って思った。

あたしはお世辞にも美人とは言えなかった。

「お前も新しい恋見つけて早く彼氏つくれよな。」宙斗が言った。

そんなの無理だよ。できると思う?

「やだよ。だって、諦められないもん。」

諦めたくないよ。こんなにも好きだと思う人初めてだもん。

「じゃ、そろそろ行くか。」

宙斗が黒い笑顔をつくった。

そう、あたし達の本当の目的はカラオケ勝負をすることだった。

やば、すっかり忘れてた。

嫌な予感しかしないけど、行くか。

「りょーかい、行こっか!」

あたしは、にっこりと笑った。