キミに「きらい」って言わせたくて

「私、昔から父がいなかったから、本当に嬉しくて。


私も、いつかあの人のように野球ができるようになりたいと思って、
ここまできた」


「まあ、私は女子だから選手にはなれなかったけれど」


全部を話し終えて、赤沢を見た。

赤沢は、ぼうっと何か一点を見つめていた。


「赤沢、聞いてた?」

「聞いてない」


ありえないんですけど。

せっかく人が大事な話ししてたのに。