「飛田。準備しろ」


そう言われて、飛田はぎゅっと拳を
握りしめて言った。



「僕には、そんなことできません」


監督は、疑うような目で飛田を見つめる。


「頼む。お前の力が必要なんだ」


飛田は、唇を噛んでぐっと堪えるようにした。


飛田は、ずっとキャプテンについて来た。

キャプテンの背中を見て、一生懸命練習して、
どんどん伸びて来たことを私も監督もよく知っていた。

だからこそ、苦しかった。