いよいよだ。


そう思うとつい、顔が強張る。


すると、私の頰にツンと人差し指が刺さった。


赤沢だった。


赤沢は人差し指を離して、何事もなかったかのように
後ろを向いて、言った。



「あんまり緊張するな」



その言葉に、自然と口元が緩む。


後ろを向いたままなんて不器用すぎるけど、
それでも、赤沢の優しさが感じられて嬉しかった。