「なにやってんだ、って」 赤沢の目から、涙が一粒零れ落ちた。 「お前が野球できなくなったら、俺の夢が叶わなくなるだろって。 激怒されたよ」 私は、自分が今までどんなに無神経なことを 言って来たかということを反省する。 私、私、赤沢に。 「そして親父は、ろくに手首を使えない俺を一人残して、 家を出て行った。俺が邪魔になったんだよ」 「そ、そんなことないでしょ」 悲しそうな赤沢をどうにか慰めたくて言った。