「俺、赤ん坊の頃に母親亡くして、ずっと親父と 二人で暮らして来たんだ。北見監督と」 「あの人、野球下手なくせに、野球バカで。自分が監督する 野球部は超弱小だったし、町内会の草野球でも様になってなかった」 「なのに、なんでなんだろうな」 赤沢は、瞬きをする。 涙を堪えるように。 「俺も、気づいたら野球が大好きになってた。あんないい反面教師が いたのにも関わらず。毎日毎日野球やってた」 「小学校の時のチームが結構強くて。そこで必死にやってたら なんか全中で投げてた」