私があたふたしているのに気づいて、
赤沢はフンと鼻で笑って言った。



「うん、住んでないよ。親父となんて」




そんなの当たり前だ、と言うように言われて、
言葉に詰まる。



「な、なんで」



顔色を伺いながらそう言う。





「だって俺、親父に捨てられたんだもん。5年前に」





ドクン、と胸が鳴った。


赤沢に、北見監督に、そんなことがあったなんて。