二階建ての、様々な場所が錆びて
今にも壊れそうな、木造アパート。

私は書いてある住所を何度も見直す。


でも、何度見てもそのアパートで間違いなさそうだった。


てっきり、北見監督の息子っていうから、
豪華な家に住んでいるのだと思ってた。


イメージと違いすぎて、かなり驚く。


私は、そろそろとアパートの二階へ上がり、
赤沢の家だという「202」号室のインタフォンを鳴らす。


「はい」



ぶっきらぼうな、赤沢の声が聞こえてくる。



「本多です」