キミに「きらい」って言わせたくて


「なら、今から出させてください。
俺よりも下手な先輩、いるじゃないですか」


私は、聞いて呆れた。

私が何か言ってやろうとするより先に、
キャプテンが一年の頰を強く打った。


「先輩に向かってその態度はなんだ。

俺たちがどれだけ練習してきたのかも知らずに。

この、恩知らずが」


いつも温厚なキャプテンが激怒したことに、
部員はとても驚いた。


その一年は、逃げるように部室を出て行き、
それから帰ってくることはなかった。