でも、するしかないと思った。


「赤沢の家、知らない?」


案の定、飛田の顔は曇った。

それは、私が話題を変えたことに怒っているのか、
赤沢に嫉妬しているのか、分からなかったけれど。

飛田は、眉間にしわをよせながら私をみつめて、
やがて、諦めたように言った。


「住所、送るわ」


そう言って、スマホを取り出す。

そんな飛田を見ると、なんだか目頭が熱くなった。


「本当にありがとう」


涙をこらえて、私は飛田に手を振った。