入り口付近で、松葉杖にリュックを背負った
飛田を見つけた。

「おう、沙菜。お疲れ」


飛田が必死で歩いてこようとするので、
私は駆け寄った。


「あともう一踏ん張りってゆうとこだな。
決勝も頑張れよ」


飛田は、吹っ切れたような笑顔で言った。

本当はまだ、未練があるのだろうけれども。


「あのさ、」


自分がどれだけ、飛田にひどいことをしているのか
自分でも分かっていた。