「今日は、どうして来てたの？」

「なんか、部活引退したっていうのが実感湧かなくて。
暇だったから、試合見に来ちゃった」


心音は、ちょっぴり悲しげな顔を浮かべる。

でも、口角を必死であげて笑おうとしていた。


「沙菜は、絶対甲子園行ってよね！私、見に行くからね！」


その言葉と、その表情に私は圧倒される。

どんなに自分が悔しい思いをしていても、本気で
私のことを応援してくれる友達を持ったことに誇りを持った。


「実は、エースだった人が事故に遭っちゃって。危機的状況なんだよね」


そう言うと、心音の顔は不思議そうな表情に変わった。