「さっきのお返し」

そう言って私は、赤沢を睨みつける。

不貞腐れる赤沢の顔が、なんだか可笑しかった。


誰もいない廊下を、二人並んで歩く。


正確には、私が少し先を歩いて。


「そうだ」


私はそう言って、くるりと赤沢の方に振り向いた。


「憧れの人に会ったよ」

「え?」


「前話した、憧れの人だよ」