「沙菜ちゃーん!」


声がした方を見ると、校舎の三階から
雛乃が顔を覗かせているのが見えた。

きっと、音楽室で練習をしているのだろう。

手にはトランペットを抱えていた。

「練習、頑張ってねーー」

「そっちもね」

雛乃は、ニコニコしながら手を振ってくるので、
私も嬉しくなって振り返す。


やっぱり、雛乃を見るとなぜか落ち着く。

雛乃は、何かそういう才能を持っている気がするんだ。