「なんでウソなんか」

私は赤沢くんを睨むようにして言う。


「オレ、正直者だから。ウソなんてついたことない」


いやいやいや。

今、ウソついたよね?

その言葉自体がウソなわけで。



もう一度、赤沢くんの顔を見た。

さっきのことは、もう、どうでもいいようで、
つまらなさそうに本を読んでいた。


自由な人だ。


けれどなぜか、赤沢くんの大きな瞳をみると、
私の中で何かが引っかかった。