あしたもきみがすきです



春、入学式。

目覚ましはちゃんとセットしたはずなのに、その日に限って鳴ってくれなくて、私は大事な大事な高校生初日を遅刻で迎えた。


右も左も分からない高校の敷地内。入学式はすでに始まっていて、門をくぐっても誰もいなかった。桜の花びらがひらひら散って、わたしってなんて情けないんだろうって立ち尽くしていたあのとき。


『体育館、あっちだよ』


今よりもちょっとだけ幼かったきみが、わたしを追い越して走って行く。振り返ったその笑顔はやけに眩しくて、わたしがきみを目で追うようになるキッカケには十分すぎるほどのことだった。



ーーー長谷川くん、きみが、覚えていてくれたなんて、わたし思ってなかったけれど。