ー心配しなくても私は1人でも大丈夫だから
「じゃあ里奈、またしばらく帰れないけど大丈夫か?パパがいないからってそんな心細そうな顔して…」
「顔はいつもこんなんだよ、いってらっしゃい。」
はぁー笑顔って苦手。よし計画実行だ!
うちは5年前に両親が離婚した。私はパパにひきとられて、ママにはずっと会えてなかった。でも最近、ママは別の人と結婚したらしい。だから、パパが出張でいない間にママが私の知らない街でちゃんと幸せに暮らしてるか確かめに来た。
ードンッ!
「わっ!」
「ごめ…」
ーグラッ!ギュッ
????なんで私知らない男の子に抱きしめられてるの????
「だいじょ…」
「どこだー和樹ーっ!!!!おめーがいねーとサッカー部の試合勝てねーんだよ!!」
「ふざけんな!陸上部の方が先だ!」
「スポーツバカは引っ込んでてよ!あんたらのせいで和樹くんを遊びに誘えないじゃない!」
「良かったー逃げられたーってあぁぁー!オレの持ってたコーヒーが服に…」
「いや、別に気にしてないよ。」
「ごめんそりゃ怒るよな。」
「あ…いや…そうじゃなくて。それよりあなた怪我してない?!」
「え、あ、いや大丈夫!」
また怒ってるって思われちゃった…
「あのさ、オレ瀬戸山和樹って言うんだ!」
せとやま かずき
明るくて元気のある人だなーって自己紹介しなきゃ!
「えと、私は源里奈。」
「そっか!オレんちこの近くなんだ!服洗うから来いよ!」
「いや大丈夫って…」
「いいから遠慮すんなって!!」
何この人超強引!
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わぁ、お店みたいな可愛いおうち。
「うちの母さんが家で料理教室やってるんだ。」
「そうなんだ!」
だからこんなにオシャレなのかなー。
「あっ、そーいや和樹君はなんで逃げてたの?」
「あー、オレスポーツできる方だから色んな部の試合呼ばれるんだ。でも今夜のバーベキューの買い出しあったから逃げてたんだ!」
だからトマト持ってたんだ。スポーツ万能ってかっこいいなぁ。
「あら和樹君お友達?」
「あ、母さん。」
「……里奈?」
え、えぇぇぇぇぇ!?
「マ、ママ…?!」
「どうしてここに?」
「ママこそなんで…」
はっ!もしかして…
「ママが結婚した人って和樹君のパパ?!」