(完)嘘で溢れた恋に涙する

「人殺しの娘よ、こいつは」



その言葉が聞こえた瞬間、私が積み上げてきたものが音を立ててガラガラと崩れ落ちていくのを感じた。




周りの視線やヒソヒソとした話し声が尖ったナイフとなって私を容赦なくブスブスと刺していく。




何度も体験したこれに慣れることは一生ないんじゃないだろうか。



やめて、ふざけないで、


そんな反論の言葉は私が口にすることはできない。


「聖奈！あんた酷すぎる！いくら由姫のことが気に入らんからってそんな嘘はついちゃダメやろ！」




美結が真っ向から聖奈ちゃんにそう怒鳴った。




「じゃあ、見てみれば？この紙」




そんな美結とは全く違う冷たい空気感を纏った聖奈ちゃんが面倒くさそうにそう言い放った。




私が見る手前、従うのが嫌だったのか、美結はしばらく行動に移さなかったけど、




意を決したように聖奈ちゃんからその紙を受け取って上から目を通し始めた。




美結はギョッとしたように目を見開いて、だんだんと表情が曇っていく。




最後のページを確認してその紙を近くの机に置いた美結は青ざめた表情で私を見つめた。




「由姫…」




絞り出すようなその声に私は反応することができなかった。