(完)嘘で溢れた恋に涙する

「理玖ありがとう」



ふいに出たのはそんな台詞だった。



ちらっと隣を見ると、理玖は前を見ていてその表情は夕日に照らされて見えなかった。



「…どうしたんだよ急に」



「まだ言ってなかったから。私、この島に来てよかった。理玖とみんなに出会えてよかった」




ずっと未来に希望なんて持てなかった。




毎日、1日1日が早く終わることしか望んでなかった。




朝、起きた瞬間から、早く明日になれって祈っていた。




だから、今この生活は、




「本当に幸せなの。私今の生活を愛してる」




幸せだとか、愛してるとかそんな言葉は、ドラマとか映画の中だけのものだと思っていた。




まさか私が何の恥ずかしげもなくこんな言葉たちを使うなんて考えてもなかった。