(完)嘘で溢れた恋に涙する

それから一番前の席に行って腰を下ろした。



団対抗リレーは一番得点が大きい、花形勝負だから応援は熱い。



だから、応援団のみんなが運動場の真ん中に行って旗を振っているため席にはほとんど座っていない。



仲のいい子達が隣に来てくれて、雑談しているうちにレースは始まった。



2つの団の一年生の女子がピストルの音で走り出す。



はじめこそ差はなかったけれど、だんだん相手の団が前に出てきて、差は少しずつ大きくなる。



それは美結にバトンが渡るまで縮まることはなかった。



だけど、美結がバトンを受け取ってからどんどんその距離は縮まって行く。



高い位置で結ばれた長い艶やかな髪をなびかせて、真剣な眼差しで相手の背中を追いかけて行く。



こちらの団の歓声が大きくなり、美結の名前が暖かく色んなところから呼ばれる。



「美結ーーー行け!」



「後少しだよ!頑張れーーー!」



「せーの「「美結センパイ頑張れーー!!」」」



そして、相手に肩を並べてバトンを理玖に渡してその肩を押し出した。