(完)嘘で溢れた恋に涙する

「あ、由姫〜」


食べていると、背後から声をかけられて振り向く。



そこにはクラスの女子がお母さんと思わしき人と立って、こっちに手を振っていた。



慌てて手を振り返すと、その子は私のお母さんに目を向けた。



「えー、さすが由姫のお母さん!超美人やん!」



そして、その目を自分のお母さんに向ける。



「あんた、わざとらしくこっちば向いてから
。なんば言いたかとね?」



お母さんは睨みながら、そう問いかける。



「いやーべつに。うちのお母さんとは大違いとか思ってなかよ」



お母さんはため息をついて、その子を小突いた後、私のお母さんにぺこっと頭を下げた。



「すみません〜、娘がいつもお世話になってます〜」



お母さんは慌てたように立ち上がって、深々と頭を下げた。



「いえっ、こちらこそ良くしてもらってると聞いています」



「いえいえ、私もすごい可愛い転校生が来たとは聞いていたんですけど、ほんとに可愛らしか〜。これからも仲良くしてあげてね」



そのお母さんは笑顔で私とお母さんにそう言って、その子とともに去って行った。



ちらっと隣に立っていたお母さんを見たら、お母さんは声を出さずに泣いていた。



少しびっくりしたけど、すぐにああと納得する。