(完)嘘で溢れた恋に涙する

そんな店員さんに会釈をして、その場を後にした。


「絶対後でお金返すから」


「いいって。
俺が勝手にしたことだから気にしないでよ」


「でも!こんなことしてもらっても」


そこまで言って口ごもった私の顔を覗き込んで透はほほ笑んだ。


「こんなことしてもらっても俺のことは好きになれない?」


否定できなくて俯いた。


「そんなこと考えないでよ。
そもそもこんなことで好きになってもらえるなんて思ってないよ。
俺は由姫が喜ばせたくてしただけなんだから」


透は困ったように笑いながら、俯く私の頭に手をポンっと置いた。


そして私の手を握って歩きながら言った。


「似合ってるよ、由姫。
その服これからも着てよ」


どこまでも素直でまっすぐな透の言葉に思わず胸が揺れる。


突然、透の歩幅に合わせていたら慣れない靴で何もないのにつまずいてこけそうになって、思わず繋いでいる方じゃない手で透の腕に手を伸ばしてしまった。


「おお、びっくりした。
ごめん大丈夫?早く歩きすぎた」


「ううん、大丈夫」


立ち止まってくれた透と繋いでいる手を強く握った。


「ありがとう、この服ホントはすごく嬉しかった」


透の顔を見上げてそう言うと、透は照れたように顔をそらした。


「俺のセンス最高でしょ」


そんな軽口を言う透に笑いながら、今度は私が透の手を引いて歩きだした。


わかってるんだ。


透は自分の息抜きに付き合ってと言って私を外に連れ出したけど、本当はそんなの口実で、きっと私のためだ。


あの日から陸玖や美結に言われたことと自分の気持ちを考えれば考えればごちゃごちゃになって、何が正しいのかわからなくなって苦しかった。


そんな私をちゃんと見ていてくれたんだ。


「ありがとう」


もう一度言うと、透が「わかったって」と言い返してきた。



行く先もないのにしばらく建物内を歩きまわっていると透が後ろから訴えてきた。


「腹減ったんだけどフードコート行かない?」


実をいうと私もお腹が空いていたので、了承してフードコートでファストフード店でハンバーガーを買って席に座った。