(完)嘘で溢れた恋に涙する

そのあまりにも辛すぎる、被害者家族だった陸玖の過去からは時々目を背けたくて耳をふさぎそうになってしまった。


だけど懸命に堪えた。


こんな苦しみを他人に、それも私に打ち明けるのはきっとすごく勇気のいることだ。


それなら私は、私であるからこそ、その全てを聞き漏らすことなく受け止めなくてはならない。


そうして長い長いその陸玖の昔話を聞き終わった後、陸玖は続けた。


「ごめん、俺はこれまで何の罪もない由姫を傷つけることだけが自分にできる家族への報いだと勘違いして、自分の気持ちに嘘をついて何度も由姫のことを苦しめた。
この前だって、しょうもない嫉妬をしてあてつけるようにお前をみんなの前で責めた。
そう簡単に許されることじゃないのはわかっている、だから何度でも謝らせてくれ。
本当に悪かった」


想定外すぎてしばらく私は茫然と、頭を下げる陸玖を見つめていた。


なんで陸玖が私に謝るの。


おかしいでしょ。


そんなの許されないよ。


そういうことを訴えたいのに、衝撃的過ぎてうまく言葉にできない。


私が口をもごもごと動かしているうちに、陸玖はまた話し出した。


「そしてありがとう。
今日島に行ってきてやっとわかったんだ。
俺の大切な場所を花でいっぱいにして、さらに美しくしてくれたのが由姫だったってことに。
あの花たちの意味も。

ありがとう。
お前はずっと俺のことも俺の家族のことも忘れてなんかなかったんだよな。

なのに俺はあんな酷いこと」


そこまで言って陸玖は悔しそうに顔を歪めた。


その唇には噛み締めたのだろうか、血が浮かんでいた。


大会の時のことを言っているんだろうか。


あの時の陸玖の言葉は鮮明に覚えている。


そんなことないと言いたかったけど、言えなかった寂しさも。



「山田さん、お前のおばさんな、に言われたんだ。
由姫を許してやってくれって。

まあでもそのために来たわけじゃないんだけどな。

俺はお前を顔を向かい合わせてとにかく話したかった。
俺がそれを今までしなかっただけだけど。

でも途中で美結から連絡来てお前が行方不明だって聞いて、志田高の生徒が関係してるって聞いてとにかくツテを頼りまくって奴らがよくここで溜まってるって聞いてすっ飛んできた。
まだお前の高校まで行ってなくてほんとよかった。

でも俺はお前のこと力武なしじゃ守れなかった。

俺は無力だ。

だけどそれでも次こんなことがあったら絶対お前のこと傷つけさせない。
指一本触れさせない」